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「こういうのは決まりごとなんじゃないの?特に信心深くなくっても家を建てるってなったら神官さんを呼んで地鎮祭するし。法律で定められてるわけじゃない。日本人の習慣なんだよ。もし地鎮祭をやらなくってこの場所に不幸なことが続いたらやっぱりやっておくべきだったんじゃないのかって不安になるから」 「地鎮祭は日本では疑問も持たずにやりますからね。ですが個人宅ならばその後も神棚を祀ったり仏壇に礼拝したりと拝む機会があるので神様も居心地良くしてださるものなのですよ。パブリックスペースの忘れ去られた祠。こんな地獄一直線な物体を放置するなど正気とは思えませんね。神様という存在は人が考えている以上に無視される事を不安に思った挙句に振り向いてほしくて暴れ出すのですから」 「何だか躾の悪い子供みたいないい方だよね。神様なんだからその辺りは悟ってるんじゃないの?」 「悟りを開くのは基本は仏僧です。キリスト教の考えでは聖人ですかね。しかし神様というものは祠を与えて適当に御供物を捧げれば満足してくださるとかいう悟りきった存在ではない。荒ぶる神が暴走したら人間如きの力では抑えられない。日本書紀とか古事記とか読んでないんですか?鬼が出てきて暴れる話は昔話の定番ですよ」 「私、本を読むのが苦手なんだ。1行目で頭が混乱しちゃうんだもん」 「玲子さんは座学が苦手のようですね。古代語すら読解できるようにならずヘブライ系魔女の占星術の基本すら学べなかったというのも納得です。きみにできるのは植物との対話……フェアリーテイルくらいですね」 「妖精の物語?なにそれ」 「妖精といえば聞こえはいいですが、日本的にいえば鬼退治ですよ。つまりゴブリンです」  一般的に鬼とは人間の魂をベースにして異世界に迷い込んだ妖怪の事を指す。
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