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「君、クビね」
「は……はい…………?」
突然上司に呼び出され、小会議室で言われた言葉。
ストレート過ぎる連絡事項。
あまりに予想していなかった通告に、何度か瞬きしてしまう。
「……………え、えっと……………………………」
しばらく固まってしまったが、上司はもう部屋を出ようとしている。
何とか留まらせてもらえないかと僕も慌てて立ち上がり、追いかけるように口を開いた。
「あ、あの、まだ途中のプロジェクトが……」
「それはもう後任の子がやってくれるから」
「でも、他にもマニュアルとか作ったほうが……」
「え?いいよ、山田君がもう作っているから」
「ですが、えっと、その……」
なのに、何も発しても言い切る前に遮られてしまう。
それでもまだ粘ろうとする私に対して、上司は背中を向けたままわざとらしく大きなため息をついた。
「あのねぇ、瀬良君」
そして、少しだけ顔をこちらに回すと、
「もう上が決めたことなんだよ。
というか、君、長年勤めている割には大した功績残してないんだよねぇ。
それじゃ、お疲れさん」
今度こそ『ばたん』と扉が閉まって、僕は静かな部屋に1人取り残された。
「………………………」
会社の経営不振。
突然のクビ通告。
成績が部署内で一番下だった僕は解雇されました。
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