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「あ…あ、れ……」
なのに……それは叶わなかった。
突然、頭がくらっとしてくる。
握りしめた拳が持ち上がらない。
というか、力が入らない。
結局何もできないまま、また布団の上へどさっと倒れ込んだ。
「な……なに、こ、れ………」
視界も揺れて、口もうまく動かない。
全身から力が抜き取られてしまったような、そんな感覚だった。
だけど、ぼーっとする頭であることに気がつく。
(あれ、これ、この感じ………)
知ってる。
これ、あれだ。
あれ…だ…………。
その事実に気がつくと、力なく相手を睨む。
「た、太陽…てめぇ……!」
それから噛みつくようにそう言うと、相手はニヤッと笑い。
「三日月の常套手段だろーが。気づくのおせーよ、ばーか」
馬鹿にするようにそう言った。
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