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明君に論破され、僕は何も言えなくなっていく。
相変わらずムカムカが収まらない僕は、ただ前髪を握りしめて俯くことしかできない。
そんな僕にしびれを切らしたのか、彼は肩を掴んでぐいっと引っ張る。
そして、さらに声を荒げた。
「おい、栄治何とか言えよ!
ほんと、てめーに何かあったら俺」
「でも、許せなかったんだ!!」
だけど、いよいよ感情が抑えられなくなってしまった。
今度は僕が置かれた手を振り払う。
明君に対抗したわけじゃないけど、彼の言葉を遮って叫んでしまった。
そして、明君の瞳を捕らえる。
「偶然でも……会ったら許せなかったんだ!
太陽君だと認識した瞬間、見過ごせなかったんだ!
明君に、あんなにひどいことしたという事実が!!」
「!」
目の前の子は、そんな僕を見て大きく目を見開いていた。
それでも、一度歯止めが効かなくなった僕は止まらない。
「どうしても謝らせたかった!
このまま終わりにしていいのかって!!」
(こんな、こんな感情をぶつけるなんて大人じゃない。
明君だって見たくないだろうに……)
そんなこと、わかってる。
頭では十分わかっているのに。
「だから、だから、僕は……!!」
もう止められない。
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