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「……帰ろ」
これ以上ここにいたって何もすることが無いからそうすることにした。
女が起きてもめんどくせーしな。
「……って、俺名前すら覚えてねーのか。やば」
人って興味ないものに割くワーキングメモリはないみたいだ。
いや、俺だけか?
……どうでもいいか、そんなこと。
シャワーを浴びる。
適当に脱ぎ捨てていた服を着ると、女を置いてさっさと出ていった。
だけど、ふとした時にふわっと香りが漂ってくる。
多分香水。それもかなり安っぽい。
それが鼻を刺激して、またため息をついた。
「あー……。
たく、シャワー浴びても甘ったるい匂い離れねぇ。
やっぱそこら辺の女じゃだめだわ」
誰にも聞こえない程度に吐き捨てた。
「………」
(……っても、一番の奴ももういねーんだけどさ)
ほとんど人が少なくなった道を、ポケットに手を突っ込んで歩く。
道中、今日あったことを無意識のうちに思い返してしまっていた。
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