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数時間前の話。
横断歩道を渡っていた時、突然腕を掴まれた。
振り返ったら、地味な顔がそこにあった。
三日月のクソ親父の弟。
俺から三日月のこと奪ったおっさん。
栄治……だっけか…………。
くそ興味ねーのはあの女と同じなのに、興味あった奴が連呼してたせいで嫌でも脳に染みついちまった。
(めんどくせー……)
そして拘束された時の第一声、頭に響いたのはそれだった。
その勘は外れることなく。
ファミレスに連れてかれて、案の定三日月のこと聞いてきて。
どんな反応するか気になって俺の過去話してみる羽目になって。
今思えば、あの後すぐに帰っちゃえばよかった。
その後、おっさんが言ったことを思い出す。
『この際だ、はっきり言おう。
……明君に謝ってくれないかな』
まさかこいつからそんなこと言われるなんて思っていなかったから。
いや、三日月のことだからどうせチクるだろうとは思っていたけどさ。
あいつ、昔から辛いことあると絶対1人で抱え込まない奴だったし。
(にしても)
やっぱあれか?愛の力ってやつか?
20歳も年下の子に好かれたから頑張ってみちゃいました、みたいな。
「いや、自分で考えておいてあれだけど、反吐出るな」
そういうのドラマだけでいいから。
だけど、最終的にとんでもないものを見る目を向けられて終わっちゃったな。
なんでそんなへらへらしているんだって顔して。
(あーあ。なんでだろうなー。あんなにちゃんと謝ったのになー)
再会した三日月も結局おっさんに手を引っ張られて行っちゃったし。
やっぱりさっさとクスリ盛って金品奪うなり、三日月と関わったこと後悔するくらい暴行加えたらよかったかな。
「……なーんて」
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