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結局、ビールを飲まずに、どさっとベッドに寝転がる。
一気に重さが加わったマットが何度か上下に揺れた。
その揺れを感じながらまた思い出す。
三日月を抱いたベッド。
あの、感覚が今も残ってる。
掴んだ腕は細くて、白くて、男とは到底思えない柔らかさで。
まさに女そのものだった。
そして。
「……あの時だけは」
あの時だけは、怒りも、悲しさも、寂しさも湧きあがっていたような気がする。
黒く塗りつぶされた幸せだって感じたかもしれない。
ずっと我慢していた欲望のまま動けて。
その後のことなんて頭回らないほどに、やっぱこいつのことが好きだなー……なんて思って。
同時に、もう元には戻れないんだということも悲しんでいて。
自分を見てくれていなかったことに凄く寂しいとも感じた。
本当に久しぶりの感覚だった。
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