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『へぇー、お前太陽っつーんだ。
じゃあ、俺三日月って名乗ろうかな!』
初めて会った公園で、俺は三日月とそんな会話をした気がする。
泣き腫らしたであろう真っ赤な目をこちらに向けて。
『あ?なんでかって?俺の名前望月明だからさ、ほら、三つ月って入ってんだろ?だから!』
あの時から、なんか生意気そうな、無邪気な笑顔よく見せてたっけ。
『うわ!ホール拡張してんの!?え、すげー……俺もやってみたい!』
俺のこと、見た目で判断しなかったのはあいつが初めてだった。
『え?なんかごついピアスってかっこいいじゃん!色々教えてよ!』
だからこそ、俺みたいにピアス開けたいって言ってきた時はやんわりと止めた。
こんなの、三日月には似合わねーから。
女装したあいつがタイプだったからとか、そういう理由じゃなくて。
いや、俺はありのままの三日月だって別に良かった。
ただ、三日月には……俺みたいになってほしくなかった。
なんだかんだで根底には「好き」という気持ちがあったのはずっと前から気づいていて。
唯一消えなかった感情だったのもわかっていて。
どんなにひどいことをしたって、感情がぶっ壊れてたって、根底には。
『三日月といつまでも一緒にいたかったなぁ』
そんな気持ちでいっぱいだった。
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