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今、この場で言ってしまおう。そして、僕の罪も彼女に告白してしまおう。彼女の前では、僕の全てを曝け出していたい。僕に罰が下されるのならば、その決定権は彼女に委ねたい。僕の告白に、彼女は驚いてくれるだろうか。彼女に出会った後の僕のように、初めての感情を経験してくれるだろうか。やられっぱなしの僕は、あなたを少しくらい翻弄できるのだろうか。
立ち止まった僕を、彼女は不思議そうに見つめた。
「あなたに伝えたいことがあります。僕の気持ちと、それから……」
僕は勿体ぶるように深く呼吸した。実のところは、自分の緊張を抑えるためだった。
しかし、彼女は僕の言葉を待たずに、くすくすと笑いをこぼした。
訳が分からず戸惑いの視線を向けると、彼女は唇の両端を美しく上げて首を傾げた。
「貴方は、詐欺師なんでしょう?」
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