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後日談
数日後、コロナの療養期間があけ、父に会った。
「お父さん、馬に乗った事ある?」
唐突な私の問いかけに父はやや驚いたが、ない、と一言だけ言った。
「乗馬体験くらいならあるけどな。」
突然どうした、と笑いながら聞き返され、私は、何となく、とだけ答えた。
まぁ、そんなもんだよね。と思っていると、祖母が横から口を挟んできた。
「子供の頃、じいちゃんと一緒に行ってたの覚えてないのか。」
その言葉に父は、そうだっけ。と訝しんでいた。
「ほれ、隣街さ乗馬できる所あるべ?あそこさ二人で行ってたっけべ。」
「え、じゃあ、じいちゃんは乗馬してたの?」
私が二人のあいだに割って入ると、祖父が若い頃は、自分の馬も持っていたと話した。
その後は、祖母による祖母の為の祖父の話が続いたが、私はとりあえず、亡き祖父の仏壇に手を合わせておいた。
あぁ、そういえば。
以前に一ヶ月だけ、一緒に仕事をしたあの女性。久しぶりに夢の中で見た時は、綺麗な女性達と白い階段を登って行ったあの女性だ。
実際に会ったのは、彼女が定年退職をされた日が最後だ。もうご高齢だとは思うのだが。
今はどうされているのだろう。
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