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桜井真奈美
桜井真奈美はITエンジニア部署に戻った。
だが、今真奈美の仕事はなかった。
そう、上司も先輩もどんなに忙がしくても真奈美に仕事を頼んでくることはなかった。真奈美は会社で完全に孤立してしまった。
真奈美は、お昼もお弁当を休憩室で一人で食べていた。
お昼休憩は一人ずつ都合がいい時に一時間と決まっていた。いつものように真奈美が一人でご飯を食べているといつも会社で掃除をしている女性が声を掛けてきた。「あなたもしかしたらIT部署の人です か?お一人でお弁当を食べているんですね。もしかしたら?会社を辞めるおつもりですか?私の時と同じ様に」
真奈美は「はい、辞めるつもりです。私と同じ様にって?」
真奈美に声を掛けてきたその女性は「私もかつてこの会社のIT部門で働いてたの。ところが三年目に入った時に突然部署のみんなが口を聞かなくなった。部署の上司の中居リーダーに呼び出されてミスが多いと言われたわ。
あなたもしかしたら?部署に付き合ってる人いなかった?そしてすぐに彼は別の部署に行かされなかった?」真奈美は 「はい、その通りです」真奈美に声を掛けてきた女性は真奈美に言った。
「部署では同じ部署の人とは恋愛禁止でしょう?罰は二人で受けるものよね?なのに彼だけ別のところに行かされた。貴女には何もない。おかしいわよね?私の時と全く同じなのよ。私は自分が本当にミスをしたのか?探りたくてこの会社で掃除をしている。変装してね」女性はそう言うと白髪頭のかつらと三角ふきんを取った。真奈美がお婆さんだと思っていたその女性はまだ35くらいの年齢の女性だっ た。
「そして、わかったことがあるの。男性は他の部署に行かせ、女性は孤立させて自分で辞めさせるように追い込むのよ。この会社男性がやたら多くない?女性は数人でしょう?でも、今の時代女性も雇わなければいけない。でも、ここの社長は初めから 女性なんて雇いたくなかった。この会社は男性しか必要なかったのよ!」
真奈美は怒りに震えた。
女性は言った。「これを見て」女性が真奈美に見せたのはこの会社を辞めた人の名前だった。
真奈美は「こんなにたくさんの人を孤立させて辞めさせるなんて~でも、一つ変だわこんなにたくさんの社員がみんな恋愛してたの?」
女性は言った。「私が調べた限り、この会社はもうすぐ潰れるの。だから少しずつ社員を辞めさせるように仕向けてるのよ」真奈美は「それじゃあ私も ~」一人の女性は言った。「たぶん彼も上司に言われたのかもね?あなたと付き合うようにって。わざと恋愛させてあなたを孤立させ辞めさせる為にね」
真奈美は全く知らない女性からそんな話を聞き
益々この会社にはいられないそう考えていた。
そして、今直ぐ会社を辞めよう。真奈美は昼休みが終わると自分の部署に戻って言った。
「今日限りで会社を辞めます。私が本当に先輩方に迷惑かけていたならごめんなさい」
真奈美は孤立してから書いて鞄にしまっておいた辞表を部署のリーダーの中居に渡した。
先輩達は一斉に手を止めて真奈美の方を見た。
そして、真奈美の部署の先輩達は真奈美に言った。
「桜井さん今までここのメンバーはあなたと仲良くなろうと頑張ってたの。
飲み会に誘ったりしてね。でも、駄目だった。
私達はあ、な、たが嫌いなの!ごめんね好きになれなくて」真奈美はショックだった。
自分は皆と仲良くやっていると思ってた。
会社が楽しいと思っていたのに。「先輩……私のどこが?」真奈美の問いに先輩達は言った。
「先輩と上司を立てないで、自分の意見を貫くところよ」
真奈美は涙ぐみながら私物を鞄に入れていた。
私はもうすぐ三年目だった。この二年間ずっとわたしは嫌われていたんだ。そんなことも知らずにこの会社が好きで一日も休まず、皆いい人だと信じていたんだ。
真奈美は自分の私物を鞄に入れると部署から一番近い扉を開けた。
扉を閉めると先輩達の声が響いて真奈美に聞こえてきた。
「やっと、辞めてくれたわねー。なかなか辞めないからさー。孤立させて辞めさせるしかないのよ」
「そうそう、あの子パソコン少しばかりできるからって生意気なのよ!」
「やたら威張っているように見えるわ」
「飲み会に誘った時なんて、自分の自慢話ばかりよ。大学が一流とか言ってさー。私に任せてくださいとか言ってさー。」
「今日はこの部署で桜井を追い出して本当によかった。「桜井を解禁おめでとう」飲み会しましょう。いつものところで」
「そうしよう。桜井を解禁」
「桜井を解禁」「桜井を解禁」IT部署はそう言って盛り上がっていた。
真奈美は私は、なんて世間知らずなんだ。そう考えながら涙が止まらなかった」
桜井真奈美は思った。私は母の厳しさから解禁されたと喜んでいた。なんて愚かな人間なんだろう?今私は、仕事仲間から母にしたように自分が解禁されている。。。
完
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