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「これからも私たち、いい探偵コンビでいましょうね」
「あぁ。これからもよろしくな」
互いにしっかりと握手を交わす。交わしながら、その血管の浮き出た手の甲と細く長い指に、つい視線が引き寄せられてしまう。
すると、ふいに繋がった右手ごと身体を引き寄せられたかと思うと――。
「えっ……ひゃっ!」
額に軽くキスを落とされた。
『もちろん恋人としても、な』
言外にそんなことを示された気がして、ドキドキすると同時に頬が緩む。私は、お返しとばかりに背伸びをして、その唇に自ら触れたのだった。
普段、私は学生、京さんは教師の仮面を被り、正体を伏せている。それはまるで、目眩く仮面舞踏会でずっと踊り続けているかのよう。しかし、踊ることをやめてはいけないのだ。
それは即ち、事件の迷宮入り――二度と真相解禁の日は来ないことを意味するのだから。
―おわり―
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