20人が本棚に入れています
本棚に追加
先生は唇に笑みを乗せたまま、ピタリと固まる。
すると次の瞬間、ぷっと軽く噴き出し、笑い始めた。
「あはははっ! 日比野、きみ面白いこと言うね。でもそう! 実はそれレンズになってるんだよ。やっと付き合えた記念に、流響の写真を撮っておこうと思ってね」
その言葉に、今度は私が噴き出した。
「やっだ、もう! だったら先にそう言ってくださいよ! ていうか、なんでこんな手間のかかることを? ――あ、先生ってば、まさか盗撮がご趣味とか? 犯罪ですよ?」
すると、彼は細めた目はそのままに、ニタリと気味の悪い笑みを浮かべた。
「知ってるよ、そんなこと。だけどそれが面白いんじゃないか。背徳な行為ほど、やめられないものはない。きみだってそうだろう?」
「確かに……」
私はふっと薄く笑みを零し、ゆっくりと手首を翳した。
「今、先生の衝撃的な告白を録音していると思うと、背筋がゾクゾクします。――虫酸が走るという意味で、ですけど」
最後の一言に怒りを滲ませ、低い声で吐き捨てた瞬間、「まさか……!」と打って変わって青ざめていく先生。
最初のコメントを投稿しよう!