解禁当日

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 先生は唇に笑みを乗せたまま、ピタリと固まる。  すると次の瞬間、ぷっと軽く噴き出し、笑い始めた。 「あはははっ! 日比野(ひびの)、きみ面白いこと言うね。でもそう! 実はそれレンズになってるんだよ。やっと付き合えた記念に、流響(なびき)の写真を撮っておこうと思ってね」  その言葉に、今度は私が噴き出した。 「やっだ、もう! だったら先にそう言ってくださいよ! ていうか、なんでこんな手間のかかることを? ――あ、先生ってば、まさか盗撮がご趣味とか? 犯罪ですよ?」  すると、彼は細めた目はそのままに、ニタリと気味の悪い笑みを浮かべた。 「知ってるよ、そんなこと。だけどそれが面白いんじゃないか。背徳な行為ほど、やめられないものはない。きみだってそうだろう?」 「確かに……」  私はふっと薄く笑みを零し、ゆっくりと手首を(かざ)した。 「今、先生の衝撃的な告白を録音していると思うと、背筋がゾクゾクします。――虫酸(むしず)が走るという意味で、ですけど」  最後の一言に怒りを(にじ)ませ、低い声で吐き捨てた瞬間、「まさか……!」と打って変わって青ざめていく先生。
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