20人が本棚に入れています
本棚に追加
/15ページ
それら複数の写真には、爽木先生が男子生徒に言い寄っているような姿だったり、酷いものは堂々と身体を触っているようなものまであった。
稲見先生は、先程の私のように仁王立ちになり、唖然とする爽木先生を見下ろした。
「ここに写っている男子生徒全員の保護者の方から、本校へ正式に抗議が来た。――きみを、わいせつ行為で処分してくれ、とな」
「なんで……。一体、いつからこんなものが……」
まさか、逆に隠し撮られているとは夢にも思わなかったのか、床の写真たちに忙しく目を這わせる爽木先生。
確かに彼の行動は入念で隙がなく、初めは焦った。クラスメイトの男友達から相談を受け、稲見先生にも協力をお願いして密かに動き始めたものの、彼から同性愛者である気配など、微塵も感じなかったから。
いつも、女子生徒たちに取り囲まれているせいもあったかもしれない。
しかし私は徐々に、もしかすると、これはカモフラージュかもしれないと思い始めた。爽木先生は、自分が女子に人気があることを逆手に取り、男子との接触を疑われないようにしているんじゃないか、と。
最初のコメントを投稿しよう！