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えっ──?
「ほうら、図星。すぐに分かったわ、武司を見る目でね。確かに顔もいいし、収入も安定してるし、スペックがいいものね。でも、あなたは武司そのものが好きなの?それとも、既婚者だから惹かれるわけ?」
「な、何を…」
「だって、他人のものは良く見えるでしょ?そういうあざとい女っているじゃない?あっ、でも違うかな。学校の先生してるくらいだから、そこらへんは真面目よね?だから、武司そのものを好いている」
「ち、違いますっ」
「これは楽しいガールズトークなの。下手な嘘はやめましょう。それじゃ聞くけど、一度でも武司に抱かれるところを想像したことはない?あるはずよ。あの人、ああ見えて意外と細マッチョなの。脱いだら凄い──」
「やめてください!」
こんな話を聞かされる筋合いはない。
今すぐにでもこの場から立ち去りたかったが、思い留まる。
嫌な思いをするのは、この一度だけでいいから。
「本当の目的はなんですか?」
「あなたとガールズトークをしたかったの」
「それこそ下手な嘘ですよね?」
そう言うと、須藤舞子の顔からものの見事に笑顔が消え去った。
「私が見たことを気にしてるんですよね?でも心配しないで下さい、私は誰にも言うつもりはありませんから」
何を見たとしても、私がとやかく言う問題ではない。
これで話は終わりだ。
静かに席を立ちかけたが──。
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