9人が本棚に入れています
本棚に追加
昼
秋も深まり、寒くなってきたというのに今日は珍しく太陽の照りが半端ない。昼間の住宅地、人がいない隙を狙って大金を頂こうと思い、お金持ちが住んでいそうな家の前にやって来た。しばらく、塀の側で様子を伺っていると…。
「おおーっ、熱っ!」
頭から背中にかけてジリジリする。発火する勢いだ。まあ、黒は熱を吸収するからな。早く日陰に行かないと火傷をしてまうぞ。
私は木陰を見つけ、走り出した。全身のヒリヒリがおさまらない。体が尋常ではない熱を帯びている。
「待てよ? もしかして? 私の体で目玉焼きが作れるのではないか?」
これは使えるなあ。キャンプに行った時、火を起こす必要がないぞ。何ならバーベキューもできるのではないだろうか。天然由来の油も健康に良いはずだ。
しかし、熱さは別として昼間にこの姿は不味い。隠れるどころか目立ちすぎる。某探偵アニメの全身黒タイツのあの人みたいだ。もしかして、私は昼間に行動ができない体になってしまったのか!?
この薬の効果は意外と不便なことが多い気もしてきた。なんだか気分が滅入ってきた。今日もひとまず犯行は止めておこう。
最初のコメントを投稿しよう!