エピローグ

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エピローグ

「Drクロはどこに行ったのかしら? 最近はすっかり見かけないわね」 ここはDrクロの秘密研究所、クロクロラボ。彼はマニアのみぞ知る偉大な化学者で、この世に多くの物を生み出している。例えば、①覚えたことは一生忘れない、嫌なことも覚えている記憶薬、②光速に迫る速さで消しゴムを擦れる、筋力アップの薬、③地面から1cm浮上し、気持ちも浮かれる、精神高揚の薬…などだ。 そして、私はそこのラボで彼の助手を勤めているお気楽な化学者のタマゴ。 先日、私は人々が持つ『心の色』を表現する薬の開発に成功した。その名もココロカラー。その薬を飲んだ者は内面の色が体表面に現れ、全身がその色に染まる。まるで紅葉のように。 例えば、邪悪な者が飲めば黒、心の清らかな人が飲めば白、戦隊モノのリーダーが飲めば赤に染まる。これが何に役立つかと言われたら疑問だけど…。このラボでは自由闊達なる研究が推進されているのだ。そのため、時には革新的な発明が開発される。 もちろん、その効果を打ち消す薬も開発済み。人体に副作用もない、とても安全な薬となっている。 ふぅ~、憧れのDrクロにこの薬を飲ませてみたいなあ。無色透明な液体だから適当に言いくるめれば飲ませることができると思う。彼は一体どんな色に染まるのだろうか? 楽しみだわ。 薬は確かここに置いたはず。 「あれっ? 私が開発した薬がひとつない。確かこの机の上に並べて置いてあったはずなのに」 周りを探していると、机の上に小瓶を見つけた。その瓶にはラベルが貼ってあり、『黒く染める飲み薬』と書いてある。 む? これは何だろう!? 白髪染めの薬!? だけど、Drクロは白髪なんて無い。白衣の代わりに黒衣を着るくらい黒好きだ。何を染めるつもりなのだろうか?
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