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 その後も、舘岡とその取り巻きたちは何かにつけて僕を目の仇にし続けた。  トラブルを恐れた僕たちは待ち合わせの場所を変えたりしたが、それでも奴らは僕のロッカーの鍵を壊して中身をぶちまけたり、僕が担当しているラインの機械を勝手に止めたりとあからさまな嫌がらせを繰り返した。 「千早、君は舘岡たちが怖くないのかい?」  ある日の帰り道、周りに奴らの姿がない事を確かめた上で僕は千早に尋ねた。 「私は怖くないわ。堂々としてればいいのよ」 「でもさ……あいつのしつこさを知ってるだろ?君が意地でもなびかないと知ったら、どんな行動に出るかわからないぜ」 「そうなったら二人で警察に行けばいいだけ。……でもあなたが私といると気が休まらないっていうのなら……」 「そうじゃない、君の身が心配なだけだって言ってるじゃないか」  僕は自分の懸念がストレートに伝わらない事に、少なからぬもどかしさを覚えていた。 「梶山君」 「なに?」 「私たち、ただの友達に戻った方がいいのかも」  僕は言葉を失った。……どうしてこんな風になるんだろう。               ※  僕たちを取り巻く状況に決定的と言っていい波乱が訪れたのは、映画の一件からしばらく経った日曜日のことだった。  前日、SNS上でやりとりをしていた僕らは、ささいなことで喧嘩になっていた。  簡単に言うと僕のネガティブな態度に愛想をつかした千早が、一方的にやりとりを打ち切ってしまったのだ。  僕は意地を張って昼過ぎまで携帯の着信を見ずにいた。だが耐えられなくなった僕は携帯を手にすると「ごめん悪かった」というメッセージを千早の携帯に送った。  メッセージを送った後、千早からの返信を待ちながら僕は落ち着かない気分で部屋の中を歩きまわった。  やがて一向に鳴らない携帯にいてもたってもいられなくなった僕は、アパートを飛びだすと千早の下宿へと向かった。 「光元さんなら一時間くらい前に、お出かけになりましたけど」  管理人の口から出た言葉は、僅かな望みを抱いてやってきた僕の落胆を一層強めるものだった。  ――返事が無いのは修復不能ってことなのか?千早。  下宿を後にした僕が真っ暗な気分で最寄り駅への道を辿り始めた、その時だった。  ふいに携帯が鳴り、僕は足を止めて着信メッセージを表示させた。
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