遠く、どこまでも遠くへ

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 元カノをテレビで見るようになってから三日が経った。    俺は心にポッカリと穴が開いた状態だ。大好きだった彼女がどこか遠くへ行ってしまったのだから、当分俺の空虚な心は満たされることもないのだろう。次の恋に踏み出すことなんて到底できなかった。    テレビで名前を聞くたびに、まだまだ彼女との思い出が蘇ってくる。もう忘れたい。彼女との思い出は全て忘れたいのに、俺の意思に反して思い出というのは湧き出てくるのだ。  彼女と出会ったのは、合コンだった。俺はそろそろ結婚を考える時期に差し掛かっていて、彼女もいなければ、女友達すらいない。出会いを求めて、合コンにはよく足を運んでいたが、見た目のいい男たちにしか女性陣は食いつかない。デブとまでは言わないが、少しぽっちゃり体型の俺はいつも蚊帳の外だった。  あの日も特に期待はしていなかった。俺みたいな奴に興味を示す人なんて誰一人としていないと思っていた。いつも通り、無駄な時間を過ごして終わると思っていたのに、その日は違った。
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