あなたのことが好きだから

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 明日香との付き合いは順調だったと思う。不純な動機で告白したものの、明日香と俺の相性は結構良かったんじゃないだろうか。付き合ってみれば可愛い面も多々見えて、俺の「好きになれそう」という予感は当たっていた。  明日香で経験を積んだ俺は、もうワンランク上の女が狙えるんじゃないか、とちらっと邪心が過ぎったこともあった。ダメだった。結果として未遂で終わったので浮気にはならなかったが、俺は反省し、二度と浮気はしないと誓った。もちろん、明日香はこのことを知らない。  進路を決める時期になって、当然のように俺は明日香と同じ大学へ進学するつもりでいた。しかし、学力が違い過ぎた。さすがに俺のために志望校を下げてくれとは言えない。だからせめて、会える範囲の大学にしようと決めた。 「明日香は地元の大学に進学するんだよな?」 「うん、そのつもり」 「じゃぁ俺も実家から通えるところで適当に決めるかー」  同棲も夢ではあったが、地元の大学に進学するなら、わざわざ一人暮らしというのも変だろう。俺の実家はそれほど裕福ではないし、通える範囲なのに仕送りをしてくれとは言えない。  今までと大して変わらない日々が続くのなら、それも悪くない、と思った。  変わらない日々を過ごして、大学にも何とか合格し、卒業式を終えて。  明日香は、姿を消した。
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