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「ごめんごめん、すぐ行くから」
僕の様子から部屋を出るべきことに気づいてくれたようだが、反省した様子はない。
僕のいつもとは違う姿に兄のことを思っていたのかもしれない。
できあがった写真の中ですましている僕は、ますます兄に似ていた。
これなら父の会社のホームページにある兄の写真をそのまま使ってもよかったのではと思うほどだ。
相手の見合い写真も届いていたが、僕は開くこともなくしまい込んだ。
母はかわいい子と言ってたが、きっと僕と一緒でいつもと違う気取った写真なんだろうと思うと興味がわかなかった。
もともと見合いは形だけのつもりで、気に入らなかったと断ろうと決めていた。
母にも期待するなとは言ってあるが、諦めてはいないようだった。
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