マリオネットは 糸を切る

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「至福のモンブランをお願いします」  まだ注文を聞く体勢にもなっていなかったウェイターに僕は早口で注文した。  メニューを準備しようとしていたウェイターの手が止まった。 「至福のモンブランですね。ご一緒にお飲み物はいかがですか?」  慌てる様子もなく注文を取り始めたウェイターに、僕はケーキだけでと断った。  せっかくのモンブランの味を、飲み物で消してしまいたくはないのだ。  そのモンブランはまさに至福の味だった。  ケーキ1つに1600円とは高すぎると思わないではなかったが、十分にその価値があった。  程よい甘さが広がったかと思うと、一瞬でその存在は確認できなり、その甘さと香りだけが余韻として口の中に長く残った。  十分にその味を堪能するため僕は目をつぶり酔いしれていた。
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