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「どうしてここに?」
やっとの思いで僕は聞いた。
モンブランは惜しいが、スーツのことなどどうでもよかった。
「仕事のパーティがあるんだ。お前は見合いなんだろ?」
兄の話によると創業30周年のパーティーが開かれるらしい。
僕は少し落ち着きを取り戻し、時間もないのでモンブランを食べながら話を聞いた。
「お前、結婚する気ないだろ? ならちょっと手伝ってくれないか?」
見合いならかわりに出るからと兄は言ってきた。
会わなくなる前は確かに入れかわって遊んだりもしたが、さすがに仕事のパーティーに出席は無理があるだろうと、僕は考えるまでもなく断ろうとした。
「まあまあ、そうあわてず話だけでも聞いてくれないか?」
断ろうとしていることを察した兄は、俺の分のモンブランもやるからと僕を止めた。
普段とは違う必死な様子に、僕は話だけならと思いなおした。
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