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「さっさと保育園に帰れよ! こんな傘、私に必要ない!」
玄関ドアを開けて、光を無理やり外に追い出す。
しかし光は傘を受け取らない。
「それはお前にあげたもんだ」
「だからいらないって言ってるだろ! 一人で帰れないなら保育園まで送ってやるからついて来い」
伶奈は光の手を引き、無理矢理連れて行こうとする。
だがその行く手にライトバンが停まった。
運転席から声をかけられる。
「すいません。駅の方に行きたいんですけど」
「うるせぇ、他の奴に聞け!!」
苛立つ伶奈は怒鳴りつけて行こうとする。
「いや、そういうわけにはいかないんですよ。俺たちあんたに用があるんで」
「え?」
「ムッ!」
伶奈と光はハッと顔をあげた。
後部座席のスライドドアが開いて二人の男が降りて来た。
口を塞がれ、無理やり車内に連れ込もうとする。
「てめえ、なにしやがる!」
伶奈は抵抗する。
だがすぐに痛めた右足に激痛が走る。
「痛ッ!」
いつもだったら、こんなひ弱そうな男たちぐらい軽く殴り飛ばしているのに……。
抵抗も空しく伶奈は車に連れ込まれてしまった。
光も一緒だ。
「なんだ、このガキ?」
「構うもんか、一緒に連れてけ!」
男たちはそう言うと、伶奈と光を乗せたライトバンを発進させた。
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