19話:傘を差し出してくれる人 ③

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「さっさと保育園に帰れよ! こんな傘、私に必要ない!」  玄関ドアを開けて、光を無理やり外に追い出す。  しかし光は傘を受け取らない。 「それはお前にあげたもんだ」 「だからいらないって言ってるだろ! 一人で帰れないなら保育園まで送ってやるからついて来い」  伶奈は光の手を引き、無理矢理連れて行こうとする。  だがその行く手にライトバンが停まった。  運転席から声をかけられる。 「すいません。駅の方に行きたいんですけど」 「うるせぇ、他の奴に聞け!!」  苛立つ伶奈は怒鳴りつけて行こうとする。 「いや、そういうわけにはいかないんですよ。俺たちあんたに用があるんで」 「え?」 「ムッ!」  伶奈と光はハッと顔をあげた。  後部座席のスライドドアが開いて二人の男が降りて来た。  口を塞がれ、無理やり車内に連れ込もうとする。 「てめえ、なにしやがる!」  伶奈は抵抗する。  だがすぐに痛めた右足に激痛が走る。 「痛ッ!」  いつもだったら、こんなひ弱そうな男たちぐらい軽く殴り飛ばしているのに……。  抵抗も空しく伶奈は車に連れ込まれてしまった。  光も一緒だ。 「なんだ、このガキ?」 「構うもんか、一緒に連れてけ!」  男たちはそう言うと、伶奈と光を乗せたライトバンを発進させた。
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