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翌日。
想子の担当する3歳児クラスの『そら組』はリズム体操をしていた。
美咲先生が弾くピアノの伴奏に合わせて園児たちが踊る。
ぴょんぴょん跳ね回ってみたり、両手を広げてみたり、ぐるっと回ってみたり。
想子は教室の後ろの方で、まだ踊れない子の面倒を見ていた。
そこへ想子にアピールするようにキレキレで踊る園児が現れた。
「ちょっと、何しに来たの? アナタたちは隣の花組でしょ!」
花組の4人だった。
「ソーコ先生、そんなに怒らないでよぉ」
「ウッ……」
うるうると瞳を潤ませる弓弦のあまりの可愛さに思わず怒る気勢をそがれる。
その虚をつくように、アオイが微笑を浮かべて想子をまっすぐ見つめてくる。
「ごめんよ。でもキミに会いたかったから」
ーーどきっ!
一瞬、心を持って行かれそうになるが、想子は慌てて頭を振った。
「(相手は4歳児……、4歳児……)」
念仏のように心の中で唱えると、両手で両頬をバチバチ叩いて正気を保つ。
「そんなこと言ってももう引っかからないわよ。昨日の帰りだって、私のこと無視してママのところに駆け寄ってたじゃない」
しかし4人は交互に顔を見合わせると、ニヤリと笑った。
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