4話:ワンワン・パニック 後編

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「!!!」 「何しているの?! 早く逃げなさい!」  美咲先生の声が飛ぶが、想子は動けない。  犬が飛びかかってくる。  万事休すだ。  だがそのとき手首を掴まれ、引っぱられた。  飛びかかってきた犬を間一髪でかわす。  見れば、アオイが立っていた。 「なんで? 窓から出ちゃダメって言ったでしょう?」 「愛する女性のピンチを黙って見ているなんてできないよ」  微笑みをたたえながら答える。  その姿はやっぱり王子様だ。 「…………」 「ほら、ソーコ、逃げるぞ」  アオイは想子の手を引き、駆け出した。犬が吠えながら追いかけてくる。  想子とアオイは園庭を逃げた。  だがすぐに園庭のすみに追い詰められてしまう。蛇口がいくつも並ぶ水飲み場。その脇だった。後ろは壁で逃げ場はない。 「ど、どうしよう」  守るように立つアオイの後ろで想子は呟く。  思わず、すがるように後ろからアオイに抱き付いた。  だがそのとき、気づいた。
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