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「!!!」
「何しているの?! 早く逃げなさい!」
美咲先生の声が飛ぶが、想子は動けない。
犬が飛びかかってくる。
万事休すだ。
だがそのとき手首を掴まれ、引っぱられた。
飛びかかってきた犬を間一髪でかわす。
見れば、アオイが立っていた。
「なんで? 窓から出ちゃダメって言ったでしょう?」
「愛する女性のピンチを黙って見ているなんてできないよ」
微笑みをたたえながら答える。
その姿はやっぱり王子様だ。
「…………」
「ほら、ソーコ、逃げるぞ」
アオイは想子の手を引き、駆け出した。犬が吠えながら追いかけてくる。
想子とアオイは園庭を逃げた。
だがすぐに園庭のすみに追い詰められてしまう。蛇口がいくつも並ぶ水飲み場。その脇だった。後ろは壁で逃げ場はない。
「ど、どうしよう」
守るように立つアオイの後ろで想子は呟く。
思わず、すがるように後ろからアオイに抱き付いた。
だがそのとき、気づいた。
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