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「「「『花組』へ、ようこそ!!」」」
「当店は初めてですか? まずは料金システムから説明させていただきます」
「ねえ、ソーコ先生、ボクを指名してよ」
「おふたりは一番奥のVIP席へどうぞ」
「……」
「……」
想子と美咲は顔を見合わせた。
窓は暗幕カーテンで遮光されており、室内は暗かった。そこに、どこから持ち込んだのかムーディーな間接照明がつけてある。照らされた壁がキラキラとしているのは、折り紙の金紙と銀紙を使って飾り付がしてあるからのようだった。
そしてクッションやヌイグルミなどのオモチャで間仕切りが作られ、ボックス席のようになっているところに、男女のペアとなった園児が入り、談笑している。
幻想的で煌びやか、だがどこかアングラなものを感じる。
こ、これは一体、なんだ??
弓弦に手を引かれ、席に着いた想子は、傍らに立つ蒼矢に聞いた。
「いわゆる、ごっこ遊びというものですね」
「ごっこ遊び?」
園児は様々な役割を演じる『ごっこ遊び』の中で、社会性や想像力を養って行く。
特に3歳から小学校に入るまでが、もっとも『ごっこ遊び』に夢中になる時期である。
以上は想子が保育士の学校で習ったことだった。
しかしこの『ごっこ遊び』は……
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