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「さあ、今日は天気も良いし。外で遊びましょう!」
そう言って想子は掃き出し窓を開け放った。
「えー、ホストクラブごっこは?」
「終わりです!」
「そんなぁ。まだシャンパンタワーしてないじゃん」
「ヤク●トは、ちゃんとおやつの時間に飲みなさい」
「ぶーぶー」
弓弦がふくれるが、想子は無視した。
「まったく頭の硬い女ですね。その様子じゃ、今まで彼氏ができたこともないんじゃないですか?」
「うっ……、お、 大きなお世話です!」
「あれ、本当に彼氏できたことないの?」
「ということはつまり……」
「処女ということになりますね」
「!!」
はっきり言われて想子は顔を真っ赤にした。
「ねーねー、ソーコ先生、ショジョってなに?」
意味を知らない他の園児たちが想子を取り囲んで無邪気に聞いてくる。
うつむいてその声に堪えていた想子だったが、プルプルと震え出すと、ついに堪えきれなくなってガバッと顔を上げた。
「このセクハラ園児どもッッ!!」
「うわー、ソーコ先生がキレたぁ」
「逃げろー」
園児たちは「わー」と掃き出し窓から園庭へと一斉に飛び出して行く。
「まったくもう!」
想子は掃き出し窓に立ち、園庭へと散っていった園児たちを見ながら呟く。
だがふと振り向くとアオイだけがまだ残っているのに気づいた。
「……な、なに?」
想子はまだ何かあるのかと身構えた。
「僕と出会うために純潔を守ってきてくれたんだね。ありがとう」
そう告げてウインクするとアオイもみんなのあとを追って園庭へと出ていった。
「うぅ……、つ、疲れた……」
想子は気が抜けてその場にへたり込んだ。
【つづく】
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