本当に好きなのは君だけど

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 触れ合う手の甲がわずかに動いた。指先を絡めあわせるように繋がれる。 「なっ……」  名前を呼び終える前に、手を強く握られた。  那珂川の手は熱く、指先から伝わる血液の流れは、蒼多と同じように速い。  車の流れが停まった。もうすぐで信号が青に変わる。  ああ、はやく手を解かなければ。  わかっている、わかっているけれど。  人波が動きはじめても、蒼多の指はちっとも動いてくれない。  那珂川の指も、動かない。
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