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自転車
チリン、チリン
仕事が終わり、自転車に乗って帰宅する。
最近、会社で行われた健康診断で『若干の肥満症です』と医者に言われた。
今まで車通勤だったが、運動がてら電車通勤に変えたのだ。
自転車は自宅と駅までのダイエットのお供だ。
チリン、チリン
夕方ともあって学生さんが多い。友だちと賑やかに帰る姿は微笑ましく見える。
ああ。自分も昔は、友人と馬鹿騒ぎをしながら帰っていたもんだ……。
自転車を漕ぎながら、遠い記憶に耽っていると、ガゴンッ! 前輪に大きな石がぶつかった。
プスプスと空気が抜けた音が出る。
パンクしたようだ。
プスプス、プスプス
パンクをした自転車を押しながら、自転車屋へ運ぶ。
自転車屋に着き、パンクした自転車を見てもらう。
「修理が終わるまでお待ちください」
自転車が直るまで店内を適当にぶらつく。
今の自転車は昔に比べ、性能が上がっているみたいだ。電動で動く自転車なんてあるのか。自転車本体が軽くなっているやつもあるのか。
「良い時代になったものだなぁ」
自分の自転車は、長く使っていたせいもあって錆だらけだった。自転車を漕いでいる時もペダルが重く感じる。(決して、体重のせいじゃないぞ!)
いろいろと自転車を見て回っていると、「終わりました」と店員から声をかけられた。
自分の錆びついた自転車に新しいピカピカのタイヤが付いた。
「タイヤのチューブが古くなっていたので、取り替えておきました。料金はこちらです」
店員へ料金を支払い、新しいタイヤが付いた自転車で家路を走った。
チリンチリン、チリンチリン
ペダルが重く、古びた自転車だが、自分の大切な相棒だ。
「これからも、よろしくな」
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