さようなら

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 畠中さんは忌引き休暇を経て、職場に来た。旦那さんが亡くなる前と同じように、みんな明るく畠中さんを迎えた。畠中さんも笑顔でみんなに挨拶をして、明るく振る舞った。  小山さんの一件を、誰かが畠中さんに伝えていたらしく、小山さんに対して明らかに冷たい態度を取った。 「え〜、畠中さんなんか冷たくない?」  小山さんはキョロキョロ見回して誰かに同意を求めた。みんな聞き耳は立てているが、誰もが下を向いて目を合わせなかった。 「そりゃそうでしょ」  長谷部さんがボソッと冷たく言い放った。 「え、でも実際ローン払わなくていいし、本当のことだよねぇ、尾崎さん」 「……さあ」  呆れて物も言えない。もう口も聞きたくなかった。  今まで以上にボスの当たりが強くなり、パートの中でも孤立しつつある小山さんは、だんだん居心地が悪くなったのか、仕事を辞めることにしたようだ。 「尾崎さん、今までありがとう。せっかく紹介してくれたのにごめんね」 「仕方ないよ。次の職場はいい仲間に恵まれるといいね」 「ほんま、それ重要よね」  社交辞令として励ましの言葉を送ったが、一緒に働かなくてよくなることに胸をなでおろした。暗黙の了解でパートの誰もが餞別を準備しなかった。  前の職場で意地悪な人がいたから辞めたと言っていたが、きっとここを辞める理由と同じだろう。こんな調子じゃ、どこへ行ってもうまくいかない。次の職場の人もかわいそうだな、と少し同情した。
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