さようなら

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 すごくおしゃべりってのはすぐに分かったけど、それよりもとにかく持ってる情報量がすごい。 「六年の池田くんと内藤さん、付き合ってるんだって。こないだ学校でキスしてたのを見た子がいるみたい」 「二年の寺内さんの親は社長で、旦那さんは時期社長だって。家も大きくて豪華なのよ」 「一年の間宮さん、シンママなのに大きな車に乗り換えてたけど、どこにそんなお金があるのかな」  私も最初は「え! そうなの?」と、つい話を聞き入ってしまっていた。 「三年の大西さん、あそこ夫婦仲が悪いって聞くけど、何か知らない?」 「あ〜、そんな話を聞いたような……」 「やっぱり! 別れるかな、あの二人。子供もちょっと素行が悪いって聞くよね」 「別れるかまでは知らないけど……。でも子供はやんちゃだけどいい子だよ」  その後、大西さんは離婚して、子供も奥さんの実家へ引っ越して転校することになった。うちの蒼真とも仲良かったので、転校を寂しがっていた。  ある日、小山さんからメッセージが届いた。 『大西さんち、売り出されてる!』  メッセージと共に、サイトが添付されていた。何だろうと思い開くと、不動産屋のサイトだった。大西さんちの外観や内装の写真、間取り、値段などが載っていた。  離婚したんだから、そりゃあ売り出すこともあるでしょう。わざわざこんなメッセージ送って来なくても、そっとしておいてあげればいいのに……。
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