さようなら

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 このメッセージに私はなんて返せばいいんだろう。 『そうなんだね』  無難に返しておいた。そこでやりとりは終わったつもりだったが、ここで終わらないのが小山さん。 『サイト見た?  大西さんち、注文住宅だから間取りも良くて  内装もこだわっててオシャレだよね!』 『そうだね』 『中古だけど、この内装でこの金額なら安いよね!』  ……う〜ん。いつまで続くの、これ。 『そうだね』  もうこれ以上は返信しないでいよう……。スマホを裏返して置いた。  でも翌日、職場で会ってしまう、非情にも。 「おはよう。大西さんちもう売りに出してるし、ビックリしたわ〜」 「おはよう。まあ、離婚したんだから、仕方ないよね」 「大西さん、旦那さんが不倫したから別れたんだよ」 「あ、そうなんだ……」  小山さんはまだ大西さんについて話してくる。大きな声で離婚だとか不倫だとか言ってるから、みんなが聞き耳立てている。私は周りで静かに着替えている同僚たちの目が気になって仕方なかった。  話題を変えよう、そう思い話を変えた。 「あ、そう言えば総務の中根部長がね、……」 「あ、中根部長といえば昨日ね、人手が足りないから現場に手伝いにきてね、それから……」  私が話したかったことがすり替えられて、小山さんの話になってしまった。もう小山さんの話は頭に入ってこなかった。話せなかったモヤモヤだけが残っている。なんなんだ、この人。  その後、私が話そうと思ってたことを聞かれることもなく、小山さんの話は終わった。
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