19人が本棚に入れています
本棚に追加
適当に相槌を打ちながら、小山さんの話を聞いた。
「私ね、なんかボスの当たりが強いんだよね。ちょっと話してただけなのに、みんなの前で大声で『口動かさずに手を動かせ!』って言われて。公開処刑だよ」
「え〜、そうなんだ」
気付いてたんだと思いつつ、いらないことは言わなかった。
「他の人も同じように話してるのに、私だけに言うのよね。絶対いじめだわ」
小山さんは、なぜ強く当たられるのか全く気付いていないようで、不満そうだった。
「自分だけ言われるのはきついね」
「でしょう? もう私仕事辞めるかもしれない」
「そっか。職場の人間関係って大事だもんね」
当たり障りのない会話をして別れた。
我が子は小三の蒼真の上に、中一の娘、綾花がいる。綾花は中学に上がって、しばらくしたら不登校になった。その悩みを長谷部さんや職場で親しい数名には話していた。
小山さんにだけは知られたくない。知られたら絶対に人にベラベラと話してしまうからだ。綾花の話はしないようにして、話題になっても差し障りのない話しかしなかった。誰にも言わないで、と言ったところで、絶対に話してしまうと確信しているからだ。
夜、子供たちも寝て、リビングでゆっくりしていた時、長谷部さんからメッセージが届いた。
最初のコメントを投稿しよう!