さようなら

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『お疲れ様〜  小山さんがいろんな人に、尾崎さんの上の子が  学校行ってないみたいだけど何か知ってる? って  聞きまくってるらしいよ  今日私も聞かれたから知らないって言っといたけど  ここ二、三日の間で井上さんや野島さんも  聞かれたらしい  みんな知らないって言ってるから、そこは安心して』  スマホを持つ手が震えた。同時にとてつもない怒りが込み上げてきた。周りには誰もいないのについ「はぁ⁉︎」と声を上げてしまった。  しかも、ここ二、三日って……。普通に話しかけてきたよね、どうでもいい話を。他人に探りを入れるくらいなら、直接私に聞けばいいのに。なぜ私の周りの人に聞くのか、その行為がやましいことだと自覚しているからなのか。  よりによって子供が不登校だなんてデリケートなこと、できれば誰にも知られたくない。こっちは真剣に悩んで、親子共々辛い思いをしているのに、興味本位で他人に聞きまくって……。  考えれば考えるほど悔しくて、涙で視界が滲んだ。さすがに感情的になって、その勢いで清水さんにメッセージを送った。 『夜遅くにごめんね  小山さんがうちの職場で綾花が学校に行ってないのを  いろんな人に聞きまくってるんだって!  あの人なんなの?  そんなに知りたければ、直接私に聞けばいいのに!  聞きまくっておきながら、普通に話しかけてきて  ほんとになんなの?  すごいムカつく!』
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