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関係を持つ
風呂上がり、部屋はエアコンを効かせてくれていたので暖かい。
「これ着てろ」
風呂から上がった榊が、腰にバスタオルを巻いているだけの俺に、少し大きいと思うがとTシャツを渡してくれた。少しではない、かなり大きかったが嬉しかった、榊のTシャツだ。袖を通してTシャツの襟ぐりの匂いをこっそりと嗅いだ。洗濯されているが微かに榊の匂い、下半身が疼いた。
髪を拭いたタオルを肩に掛けたまま、キッチンで何かしている。上半身は裸の榊、高校のときよりもはるかに逞しい筋肉に覆われている。普段は髪をひとつに団子結びのいわゆる『マンバン』、結んでいる時には生え際までの刈り上げが、恐ろしい程にカッコいい。下ろすと肩に軽く触れる程の髪の、尋常でない色気にドキドキした。
「温ったまるから」
そう言ってソファーに座る俺の前にハーブティーを置いた。
「あ、ありがとう… 」
しんと静まりかえった部屋、唾を呑む音さえ聞こえてしまいそうで、慌ててハーブティーを手に取った。榊は黙々と部屋の片付けをしている。
飲み終わったカップをキッチンへ下げようと立ち上がった時、榊が近寄ってきて俺の手からカップを奪った。
ん?
と思った次の瞬間、榊の唇が俺の口を塞いで、またソファーに座り込む形になる。
何を!? そう思って少しもがくとヌルッと舌が這入ってきて、その感触に驚く。
俺はキスが初めてだった。
「何をっ!?」
思わず榊を押し退けると、顔を近づけてニヤリと笑う。
「俺の事、好きだろう?」
上目遣いで俺を見る瞳は1ミリも動かない。
バレていたのかと、恥ずかしい思いが熱い血となって身体中を走った。
「揶揄って… いるのか?」
声が震えた。高校時代の廊下でのハグを思い出した。女子生徒が喜ぶからと、俺と榊のハグを見せる為に抱きついてきていた事を。
榊は何も言わずに、じっと俺を見つめたまま今度は真剣な顔をして顔を近付けてきた。
揶揄われていたとしてもいい… 、
俺は榊に身を委ねる。
キス… 初めてだからよく分からないけれど、榊が口の中を掻き回す舌が卑猥で愛おしかった。
こんな事を皆しているのかと興奮に近い感情、榊の掻き回す舌に… 自分も、その舌に絡ませた。
榊の髪が首筋に触れてくすぐったい、ピクンッと身体が動く。
ピチャピチャ、クチュクチュと音が響いて、合間にふふっと笑う榊の声がする。
榊とキスをしている。
それだけで達してしまいそうな下半身を、俺は必死に堪えた。
一度、唇を離すと榊は優しく微笑んで俺を『慶人』と呼んだ。
名前で呼ばれてドクンと大きく胸が打つ。
「慶人、可愛い、犯したい」
榊の言っている意味が分からない程に、頭がボーっとして身体は榊に支配されている様になった。
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