問いたくても問えない

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問いたくても問えない

ピピピピッ! スマホのアラームが鳴り、心臓がドキリとして目を覚ます。 そうだ、修司の家だ、昨夜ヤッたんだ。 先に修司が口で俺をイかせてくれて、その後、寝バックでシた。射精()したのと、修司の腰の動きのリズムが心地良くて、修司が達したのも分からないまま、いつの間にか寝入っていた様だ。 目が覚めた時には、しっかりと首まで布団が被せられて温かく気持ち良く眠れた。 隣りで寝ている修司を起こさない様に静かにベッドから出て支度を始めた。 ん? リビングに掛かっているスーツに並んで、買ったワイシャツが袋から出されて綺麗にアイロンが掛かっていた。袋から出したばかりだと変な皺が付いているだろうな、とは思っていたのでアイロンを掛けてくれた修司に感謝する。 こういう所がズルい。勝手をしてもそれと同じ位、いや、それ以上に俺に返してくれる、何も言わずに… だから俺は、修司を恋しく想う気持ちが止まらない。 「っんだよ、起こせよ」 あくびをして頭と腹を掻きながら、目を瞑ったまま寝室から出てきた。 「あ、ごめん。起こしちゃた?」 「起こされてねーよ。朝メシ、食う?」 「いや、いいよ寝てろよ」 ヤり終わった後、修司は風呂に入ったりこうしてアイロンを掛けてくれたりして、寝るのも遅かっただろうと思って言った。 「慶人のスーツ姿、見たいもん。メシ、食う?」 「… じゃあ、お願いしていいか?」 嬉しくて、はにかんだ顔をしてしまう。 「勿論」 スっと俺の傍に来てチュッとキスをするとキッチンに向かった。今更ながらドキドキした。 「スープはインスタントだけど」 そう言って簡単なサラダとベーコンエッグに白飯、お椀に入れたスープをテーブルに並べてくれた。 「ありがとう」 まだネクタイは締めていない、アイロンを掛けてくれたワイシャツのまま用意してくれた朝ごはんを食べた。美味しい、サラダのドレッシングは修司のお手製。ベーコンの少し柔らかい部分を残しつつのカリッとした焼き具合も、卵の半熟具合も俺好み、全部把握してくれている。 「うまそうに食ってくれるな、いつも」 頬杖を突いて食べている俺を見る修司の顔が嬉しそうで、思わず俺も照れながら微笑んだ。 でも、彼女が出来る度にこうしてあげているのだろうかと思うと、切なくなる。 「ん?どうした?」 そんな顔を見られてしまって眉を上げる。 「何でもない、本当に美味しい」 そう言って笑うと、修司も笑った。 こんな幸せな朝。 俺は、修司にとって何なんだろう。 問いたくても問えない自分がもどかしい。
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