高校時代

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高校時代

「バ、バレー部の仲間も来てるんだな」 剣道部だけではなく、榊が所属をしていたバレー部の仲間の顔も沢山あった。そんな事を言いドキドキする胸を誤魔化す為、話題を変えた。 「懐かしいだろ?ついでにバレー部に声掛けたら、結構集まった」 酒を飲みながら榊が笑った。あまりに煌びやかな笑顔に心臓の鼓動が激しい、ぶち破いて出てきそうだ。 「俺ら体育館で隣り同士だったじゃん、練習、たまに揉めてたよなー」 あっはっはと思い出しては大笑いをして俺の背中をバシバシ叩いた。俺も「そうだな」と言って笑って見せたが、引き攣っていなかったか心配になる。叩かれた背中が、酷く… 熱い。 「榊ーっ!」 呼ばれて俺の隣りから離れた。すぐ傍にあった榊の温もりが残っている椅子に、そっと手を伸ばした。 ✴︎✴︎✴︎✴︎✴︎ 「春名、次の剣道部の部長、お前?」 「ああ、この前の三年生最後の試合の後に言われた」 「俺はバレー部の部長、お隣り同士よろしく頼むな」 そう言って手を差し出され、握手をした。 高校二年生。 俺は剣道部の部長に、榊はバレー部の部長に就任する。 榊はバレー部のエースアタッカーでもあり、中心的な存在。この男に欠点などあるのだろうかと、何もかも兼ね備えている榊に思う。 体育館での練習も隣りだが、部室も隣りで何かとバレー部と剣道部は接点があった。部室と言っても横長の建物に簡単なパーテーションがあるだけで、話し声などは筒抜け、様々な部の人間が行き交い、賑わっていた。 榊が着替えながらの声掛けで、汗で濡れたユニフォームを脱ぐと逞しい上半身が現れてドキドキした。相手は男なのに、と戸惑う心が騒がしくて、慌ててその場を離れようとしたのに、榊の話しは続いた。 「結構揉めるじゃん、俺ら」 ボールが飛んで来ただの、剣道の掛け声にびっくりするからそんなに大きな声を出すなだのと、後から考えたら随分とくだらない事でよく揉めていた。 「そ、そうだな… 」 硬く引き締まった筋肉に覆われた美しい、上半身裸の榊を前に、目の遣り場に困る。 「俺達は上手くやっていこうぜ」 にこりと笑い、下のズボンまで脱ごうとしたから思わず声に出てしまった。 「ああっ!」 「えっ!?なに!?」 半分程インナーパンツが見えた状態で声を上げてしまったので、榊もビックリして思わずズボンを上げていた。 「あ、ああ… 上手くやろう、な」 顔が赤くなり、しどろもどろで話してしまった。榊の顔の表情は夕陽の逆光になってよく分からなかったけれど、俺の狼狽えた顔は分かってしまっただろうと思い、酷く動揺した。
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