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ギュッと瞑った目をゆっくり開けると、そこは私の部屋だった。
誰かに掴まれたはずなのに、掴まれてた手は解放されていた。
「ゆ、夢…?」
姿見に触れても、何も起こらない。
そうだ、お母さん…!
「あだっ!」
急いで1階に降りようと思ったのに、ドアにぶつかった。
「な、なんで?さっき開けっ放しにしてたのに」
ドアノブを握って開けようとする。
開かない。開かない?
カギとかついてないよ?私の部屋のドア。
どうなってるの?
ガチャガチャと繰り返す内に開いた。
開いた拍子に倒れ込む。
「いっ、た……」
手前に引いて開けるドアが、押して開けるドアになってる。
なんで逆になってるの?
気を取り直して、階段を降りる。
移動してなければ、お母さんはリビングにいるはず。
「お母さん?」
リビングを覗くと、テーブルに冷たいお茶があるだけでお母さんの姿は無かった。
……おかしい。お母さんは、内臓が冷えやすいからって何でもかんでも温かい状態を選ぶ。
冷たいお茶なんて飲まないはずなのに。
コップに入ってるお茶が半分以下ってことは飲んでたってことだよね?
うろうろと全部の部屋を見て回るもお母さんの姿が見えない。
夢…じゃ、ない?
「 」
ん?なんか聞こえる。外かな?
玄関に向かうとまた違和感を覚えた。
脱ぎ捨ててあった靴が綺麗に揃えられている。
イタズラされてないか、靴の中を覗き込んでからおそるおそる履いた。
玄関のドアに手をかける。
もしかしたら、これも?
いつもなら押して開けていたのを引いてみた。
思った通り、開いた。
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