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「「これから、どうする?」」
2人してハモってしまった。
慌てて口に手を当てるのも被った。
とりあえず、別の話題、別の話題。
「た、田口君、その自転車は乗らずに押してきたの?」
「え?あぁ、見た目は問題ないのに、壊れてるっぽくて進まないんだよ」
部屋のドア、お茶、靴…、全部に共通してた事が自転車にも当てはまるなら……
「ペタル、逆に漕いでみて。普通にやったら進まないやり方なのは分かってるけど、やってみて?」
へっ?と鳩が豆鉄砲をくらったような顔をした後、田口君は私の言う通りにやってみてくれた。
結果、進んだ。
「え?なんで?植野すげぇ」
進んだのを確認して、すぐ止まって彼はこっちを見てきた。
「なんか……、よく分かんないけど色んなことが逆になってるみたい」
「まじか」
これからどうするか…。
「とりあえず、渋谷行ってみる?あっち行っても、人居なかったらまじでおかしいもん」
「そう…だな。植野、後ろ乗れよ。こっからだと表参道駅が近いよな?」
「うん」
自転車の後ろにまたがる。
ルイージの後ろに囚人服の女ってすごく妙な組み合わせ。
「……、ちゃんと掴まれよ、植野」
「あ、うん」
歯切れの悪い言い方をした彼のお腹へ腕を回して掴まる。
漕ぎ始めこそ、少し揺れたがすぐに安定した。
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