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この三月後に王の崩御を確かめた老人は、この地から一筋の光となって西の彼方へと出で立った。恐らくは彼岸の地へと向かうことになり、この光跡を見届けられたのは娘のみであった。
その後、巷では王をも呪詛しうる、その人の怨霊による祟りと取り沙汰されていた。摂関家当主の座を引き継いでいた弟は、その人を神格化し己への祟りを逸らすことに専念している。そのような風潮の中で落雷から八年が経ち、娘は小さな祠を北野の地に祀った。その後も巷では、雷神としての畏怖は消え去ることが無く、摂関家当主の息子は邸宅を寄進し、その人を天神として祀る堂舎を完成させている。
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