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週が明けて登校すると、手を吊っている幹雄は、初めて見る友達に囲まれて戸惑ったが、なんとかやり過ごすことができた。
大変だったのはむしろ、ユキオの方だった。さっさと帰ろうとしていたら、知らない女の子が駆け寄ってきた。
「幹雄、今日は図書室で勉強教えてくれるんだよね。数学が得意な彼氏がいて、よかったわ」
数学の話は聞いていたけれど、幹雄に彼女がいたなんて聞いてない。
夜、連絡を取りあった。
「幹雄、彼女いたのかよ。数学どころじゃなかったぞ」
とユキオはいの一番叫んだ。
「彼女なんかじゃないよ。人懐っこい子なんだ。適当にあしらっとけよ」
「思ってたより馬鹿なのねって、言われたぞ」
「ユキオ、もしかして数学できないのか?」
「いやあ……どちらかというと、そうかもね」
「テストも入れ替わったまま、受けるんだよね? がんばってくれよ、ユキオ」
「文系は任しとけ。そっちでカバーするから」
「しょうがねえなあ。俺は文系苦手だから、覚悟しとけよ」
「テストの結果、えらいことになりそうだな」
「お互いにね」
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