僕が俺で、俺が僕

9/11
前へ
/11ページ
次へ
 二人は学校帰りに待ち合わせをして、制服と持ち物を交換し、今朝出てきた家とは違う家路についた。ユキオは誰もいない家に、幹雄は妹やチビのいる賑やかな家に帰った。  幹雄は夕食を済ませてから妹とチビとさんざん遊び、父親が帰ってくると勉強があるからと二階の自室に向かった。ユキオの部屋で寝るのは二度目だし、風呂は皆が寝静まってからにしよう。  そんな風に考えながら階段を駆け上がり、もう一段というところで、なんとしたことか、踏み外してしまった。大きな音に、三人が駆けつけてきた。幹雄は、右手を折ってしまった。  ユキオに連絡ができたのは、治療を終えて、自室のベッドに横たわってからだった。 「幹雄、大丈夫か? 明日は日曜日で学校はないから、早く元に戻ろう……」  と言いかけて、ユキオは気が付いた。 「今は麻酔が効いてるから大丈夫。だけど、どうしよう……。ユキオも右手、折らなきゃ元に戻れないよ。頼む、折ってくれよ」 「いやだよ。痛いし、同じように折れないし、医者でばれるよ」 「このまま、治るまで入れ替わっとくしかないけど、学校の友達、家族より敏感だからな」 「しょうがないなあ。説明するから、幹雄も詳しく教えてくれるか。テストで部活がなくてよかったよ」 「それが……クラスに、部活も一緒の親友がいる。それに骨折が治るの、ずっと先だよ。テスト終わって、部活再開しちゃう。バスケと剣道、違いすぎるし、」 「そうか……明日、考えよう。今日はもう寝ろ。僕も勉強どころじゃないな」 「ユキオ、すまない。おやすみ」
/11ページ

最初のコメントを投稿しよう!

3人が本棚に入れています
本棚に追加