桜田と空の場合①

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桜田と空の場合①

「お前が好きだ! 俺と付き合ってくれ!!」  放課後の保健室。  高校3年生、連休明けの5月。  これまで二度、勇気を振り絞ったことがある。  しかしどちらも「そんな風に見れない」と断られていた俺は、人生三度目の告白をした。 「…は?」  話しかけた時からずっと面倒そうな表情で。  無感情な声で。    想定通りの反応だ。 「なーんて、ウッソー!!」  俺は戯けて両手を広げ、満面の笑みを作った。  ちょっと反応が怖くて冷や汗をかく。 「ああ、なら、付き合おうか」  しかし、相手が淡々と続けた言葉にそのまま固まった。    え?    嘘だって言ってるじゃん?  
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