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俺が告白したのは空凪。
隣のクラスの、いわゆる不良。
短い金髪で耳にはピアス、シャツのボタンはいつも開いてて中から派手な色のTシャツが見えている。
金髪が違和感ないくらい似合ってて、冷たい目と高い鼻、小さい顔に長い足の長身イケメン。
毎日喧嘩してるとか、恋人が日替わりだとか、他校に舎弟が百人いるとか中学の時に周辺の不良をシメたとか。
どう考えても不良漫画読み過ぎな奴らが流した噂を一身に受けてるやつだった。
ファッションであの格好してんじゃないかなと俺は思っている。
校則違反だから不良は不良だけど。
そういうわけで、俺は放課後に隣のクラスに行った。
教室に残ってたやつに空の居場所を聞くのに「罰ゲームだ」とだけ伝えると「勇者かよ」と笑われた。俺が言うのもなんだけど、空の扱いが酷い。
不良なんてほとんど居ない治安の良い学校だから完全に魔物扱いだな。
そして、最後の授業の前に保健室に寝に行ったとの情報を入手する。
先生が外出中の保健室で、カーテンの閉まっているベッドがひとつあった。
体調が悪いわけではなく、ただのサボりだとは思うけど起こすのは可哀想だ。
(寝てるなら、仕方ないから明日にして部活に行くかなー)
ちょっと緊張してきてしまったのもあって、自分に言い訳して帰りたくなる。
大丈夫だろうけど、もし噂通りの鬼みたいな奴だったらどうしよう?
今更ビビって立ち往生してしまう。
だが、そんなことは言っていられなくなった。
ジャッとカーテンが開く音がしたのだ。
俺は思わず姿勢を正した。
「…。」
「…あ、えーと、空…?」
「…なんだお前」
ベッドに腰掛けたままの、まだ眠そうな、気怠げな目がこちらを見た。
トーンは低いけれど、どこか涼やかな耳心地のいい声だ。
会話なんてしたこどがない俺がわざわざ声を掛けたから、物凄い怪訝な表情をしている。
悩んでいてもしょうがない。
なんせ、俺が言い出したんだし!
男らしくいけ!
というわけで、俺はそのまま思いっきり告白したわけだ。
そして、OKされた。
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