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ピロンピロンと電子音が連続して鳴る。
スマートフォンの画面には次々と文章が流れてくる。
俺、光安翼は部屋のベッドに寝転がりながら唖然とした。
「嘘だろ…!」
思わず独り言が溢れる。
『告白、OKされたどうしよう』
『え、俺も』
『俺もなんだけど!助けてくれ!』
『全員!?そんなことあるか!?』
信じ難い短文が並んでいる。
画面を見つめながら、空いている手で頭を掻きむしった。
事の発端は、昼休み。
「そういえばお前たちくらいのころ、告白ゲームとかしてたな。」
屋上で3人の友だちと昼ごはんを食べている時だった。
どういう話の流れだったかはすでに覚えていない。ただ、見回りに来た隣のクラスの担任が軽く言った言葉は、男子高校生の好奇心を駆り立てるのに充分過ぎた。
「告白ゲーム」とは。
何かの罰ゲームとして同性に告白する、というものだった。
そのまんまだ。
そしてよく聞くやつ。
ただし、誰でも良いわけじゃない。
あまり親しくない相手に、という度胸が試されるものだという。
いや、親しくないからこそ人間関係にヒビが入らないというのもありそうだけど。
そして先生がいなくなった後、一緒に聞いていた友だちの1人、桜田が丸い目をキラキラさせていた。
「やろうぜ! 次の英語の単語テストでビリだったやつが空に告白な!」
空とは隣のクラスの不良っぽい生徒だ。
顔の整った色男だが、怖い噂の絶えない一匹狼だった。
「それスリル満点すぎだろ〜!殺されたらどうすんだよ!」
言葉とは裏腹に楽しそうに笑っているのは杏山。襟足の長い茶髪が揺れる。
「やめとけよ!告白なんて嘘でするもんじゃねぇよ!」
梅木は眼鏡の下で顔を引き攣らせて止めた。
この時に、この真っ当な意見を聞いておくべきだったのだ。
しかし、
「大丈夫大丈夫! 女好きで有名だから鼻で笑われて終わるし、すぐネタバラシすればいいんだから!」
やる気満々の桜田の明るい声が後押しした。結局、俺たち4人は深く考えずに新しく知った遊びに興じることにしたのだ。
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