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購買でもみくちゃになってパンを買った後、3階の端にある空き教室に入る。
普段授業を受ける教室とは階段を挟んだ場所にあり、あまり使うことのない部屋だった。
「いつもここで食べてるのか?」
「誰も来ないからな」
余った机がまばらに置かれている中で、窓際にある椅子に空は座った。
いつもひとりで飯食ってるのかな? 彼女がいたらその子が誘いに来るか。俺みたいに。
あれ、俺、彼女?
「なぁ、空。もう1回言うけどさ。昨日のって罰ゲームの告白だったんだよ」
当初の予定を思い出した俺は、弁当箱を包む赤い布を解きながら切り出す。
パンと一緒に買っていた牛乳にストローを刺した空は、さして興味なさげに目線を寄越した。
「だから?」
「その、悪ふざけしてごめんなさい」
腹が鳴りそうだったので早く食べたかったが、弁当箱も箸も置いて座ったまま頭を下げる。
しかし、何の反応もない。
少しだけ顔を上げてチラ見すると、パンの袋を千切っているところだった。
いやいや、なんか言えよ! と逆ギレしたくなる。
「だからさ、恋人とより戻したら良いんじゃないかな。それこそ罰ゲームだったとか言って…」
俺の謝罪なんて、なんの意味もなさなそうだった。だからノリだったのかなんなのか、フってしまった彼女に触れてみる。
だが、返ってきたのは驚きの答えだった。
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