光安と桃野の場合①

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 その結果。  言い出しっぺの桜田(サク)が単語テストで最下位だった。  別に自信があったわけでは無かったらしい。  桜田(サク)は、 「俺だけは嫌だ! 次の体育のマラソンで一番遅かったやつも誰かに告白しろ!」  と、往生際悪く道連れを所望した。  運動の苦手な梅木(ウメ)が嫌がったが、多数決でそれでいこうかとなった。  そして普通に梅木(ウメ)が一番遅かった。なんならクラスの男子で一番遅かった。  どう考えても出来レースだったため、梅木(ウメ)が告白する相手は同じクラスの人気者。生徒会長の水坂(みずさか)になった。人格者の彼なら笑って許してくれるに違いない。  それで終わりのはずだったのだが。  間が悪く最後の現代文の授業で抜き打ちの漢字の小テストがあった。  そこで見事に0点を叩き出した俺。  それを見た桜田(サク)が嬉々として「翼もな!」と言い出したのだ。 「こうなったらみんなやろうぜ! な、杏山(あんず)! なんか3人ともイケメンになっちゃったし、イケメン四天王最後の1人! 土居(どい)とかどうだ?」  土居は野球部主将で、絵に描いたような生真面目硬派だった。優しい奴だけど、流石に怒られないか?と思ったが、コミュニケーション能力の高い杏山(あんず)なら上手くやれそうではある。  ノリの良い杏山(あんず)は「しょうがねぇなー!」と言いながら快諾した。  全員が放課後に告白して、帰ってから結果報告しよう!  と決めて別れたのだ。    全員が告白成功するなんてこと、夢にも思わずに。        
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