梅木と水坂の場合①

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梅木と水坂の場合①

「水坂くんのことが、好きかもしれない、デス......」  生徒会室の窓から入ってくる光が眩しい。  高校3年生、連休明けの5月。  俺は目も合わせられないまま、小さい声で告白した。 「俺もだよ。梅木、付き合ってくれるのか?」  誰もが羨む端正な笑顔で。  全く自信の揺らがない瞳で。  椅子から立ち上がる所作すら絵になる完璧な男は。    今、天地がひっくり返る反応をしませんでしたか。 「......!?」  俺は何も言えず動くことも出来ないまま、近づいてくる相手を見つめた。    これは夢か?  嘘の告白なんですけど。  
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