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「それは分かってます……でも、そんな簡単に割り切れるなんて……先輩って、ロボットなんですか」
「もし僕がロボットなんだったら、あれだね、きみは僕をロケットに詰め込んで打ち上げてみればいいんじゃないかな、フェリセットみたいに」
これは完全に冗談だった――Just Kidding、略してJKだ。
だけれども、この間までJKだった後輩――その頭脳はこの国の中で両手に入ると言えども肩書は女子高生だったことに違いはない――はそんな僕を見てきゅっと唇を噛み締めた。
まるで、この人にはもう何を言ってもしかたない、そんな表情をしていた。
「何か?」
「いえ何も」
後輩にそんな顔をさせることができたんだったら、僕の演技も上出来だ。
「さ、そろそろ僕たちも打ち上げ中継を見よう。間に合わなくなったら困るからね」
「……わたしはいいです」
そう言った後輩の瞼は泣きじゃくった所為で腫れあがっている。いつもの半分も見えてなさそうだ。可愛らしい大きな瞳が半分ほどふさがっている様子は確かに心に来るものがある。
――常人なら。
なんとも思わない僕はきっともう、常人ではない――後輩の言葉を借りるのなら、人よりもロボットに近い――のかもしれない。
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